おかたづけとエントロピー

熱力学第2法則

例えば、水の中にインクを1滴垂らします。インクは垂らした位置から広がります。
しかし、広がったインクが一箇所に集まってくることはありません。

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このとき、状態の乱雑さを表す指標「エントロピー」は増大します。

 

この世のすべての現象は、この法則からなんとなく納得することができます。例えば、砂場に作られた山はいつか、雨や風により元の砂の山に戻ります。

さらに大きなスケールで言えば、地球上にできた大きな山も雨や風により浸食を受け、いずれは徐々に崩れて平らに近づいていきます。

綺麗に片付けた筈の部屋が徐々に、散らかっていくのも、多分これと大差ない現象なのかなと思います。

でも、生き物とは不思議なもので、一見部分的に見ればこのエントロピーを増大させるようなことをします。

 

その一つが片付けです。せっかく乱雑に物が散乱している=エントロピーが高い状態が作られていたのに、片付け、によって一カ所に整然と固められ、その一方で床や机には何も残っていない、極端な状況になります。

この状態はとてもエントロピーが低く、不自然な状況です。

なぜ、わざわざ、自然の摂理に逆らってそのような不自然な状況を作りたがるのでしょうか?

 

片付けというのは、仕事の本質ではなく、仕事を行うための環境を整えることであり、準備をすることである。だから私はあまり片付けが好きではない。それをしたところで、仕事は進まないからである。つまり面倒だからだ。

片付けないと精神的に気が済まない、という人もいる模様であるが、どうも私は違うようだ。

でも、片付けをすると、一般的に仕事が捗るという。なんで?

 

先ほども述べたとおり、片付けされた状態とは、エントロピーが極端に低い状況である。

エントロピーが低い状態から、高い状態に推移するときには、大体高いエネルギーがその変化から得られる。

例えば、極端に切り立った砂の山、つまりエントロピーがとても低い状態を作ったとしよう。この山は低い山に比べて、とても崩れやすく、崩れる際には一気に崩れて大きなエネルギーを発生させる。

つまり、片付けによってエントロピーが極端に低い状況を作り出すことで、より一度に大きなエネルギーを得ようとしているのである。

この場合で言うと、綺麗に片付けがされた状況では、物を素早く取り出しやすい=散らかしやすい=エントロピーを増大させやすい。

そして、物を素早く取り出すことができるようになると、仕事が捗る。という具合なんじゃなかろうか?

 

ちなみに、片付けをしても、ものがどこに収納されているかわからない状態だと、却って仕事が捗らない場合がある。

これは、多分片付いていることを認識できていないため、片付いている状態に波動関数が収束しておらず、片付いている状態と、片付いていない状態が重なり合っている状態なのだ。

だから、物の収納状況を確認することで、波動関数が収束し、そこで初めて片付いている状態となるからだと説明できないだろうか?

ちなみに、収納状況を確認したところであまりに、無規則、乱雑に物が固められているだけでは、これまた仕事ははかどらない。結局情報のエントロピーが大きく、それ以上大きくなりにくいので、そこからの状態変化が発生しにくく、物を探しにくいのだ。

 

さてさて、私は本当に面倒くさがりなので、人間が当たり前にやっている習慣でも「なんでこんな面倒なことするんや?」と疑問に持つことが多い。

今日、ふとそのうちの一つの疑問が解けたような気がしたので、ここにメモした次第だ。

 

しかし、私がここまで考えないと理解できなかったことを、経験的に知っている人類はすごいなあ。