あの日も今日のようなそよ風の吹く日だった。

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たまにやたらとでかい蜘蛛の巣(10mくらい!?)があるけど、あれどんなやって作ってんのかなーと、昔から不思議に思ってた。

 

学生時代、電車通学のため西鉄花畑駅のホームで電車を待っていたら、そよ風に乗って線香の煙みたいなのが、ゆっくり風下に向かって流れていた。

 

なんだこりゃと思って、よく見てみたら駅の看板の上に蜘蛛がいて、そいつが吹き流していた糸が細い煙のように見えたのだった。

 

なるほど、こうやってあんなでかい巣を作るんだなと感心してたら、その蜘蛛の糸が反対側のホームで電車を待ってるおっちゃんに着弾して、おっちゃんがめっちゃ振り払ってた。

 

おっちゃんがかわいそうだと思った。

 

そうあの日も、今日みたいな気持ちのいいそよ風が吹く日だった。

 

こんな日はいつも、見えない何かと戦っていたあのときのおっちゃんの姿を思い出す。

 

 



終わり。