読了『公務員の「異動」の教科書』感想&今年の抱負

年始早々、まじめなタイトルの本を読んでみた。
 
と、いうのも、「人事異動」が組織運営に一時的に与える「ロス」が、少しからずあることは明らかであるのに、それに対する処方箋が一般化されていないと感じるからだ。
 
人事異動自体は、特定団体や企業と行政の癒着などの不正を防ぐため、はたまた将来行政組織を担う広汎な視点を持った人材を育成するために必要なものだと思う。
 
ただし、そのメリットの反対にあるデメリットも半端ではなく、メリットがあるからといって、デメリットが大きいシステムをそのままにしていてよいはずがないのだ。
 
個人的には、いろんな種類の違う仕事や、全く異なる地域で仕事をできることは、とてもわくわくするし、たくさんの人と知り合うことができる機会があることは、とてもうれしいし、私の実力を培う上で大きなプラスになると思っている。
 
でも、それで市民にとって一時的に不都合になることは、極限まで避けなければならないと思う。
 
そんなわけで、この「異動」や「引継ぎ」について、デメリットを極限まで低減する知恵が得られないかと思ってこの本を手にしたところである。
 
 
で、まずこの本を読んで、最初に思ったことは、
 
この本は、
「異動」や「引継ぎ」そのものに注目しているのではなく、
「異動」という切り口から、
一つ上の公務員として、どういう行動をとるべきか、どういうキャリアアップを図るべきか、
ということをまとめている本だ

異動するたびに、業務も周囲の人も変わり、そのときに臆することなく新しい知識・経験を吸収し、新しい人脈(ただの知り合いではなく、信頼関係を持つ)を構築できるかどうかが、キャリアアップにおいて大きなポイントだということを本書は述べようとしているのだと思う。

 

印象的だったのは、人脈づくりや信頼関係の構築など、一見ふわっとしていて、不確定要素を多く含むことについてもかなり重点的に触れられていることだった。

なんだかんだ、個人の能力を向上させて、業務を正確にすばやくこなそうとも、結局自分だけで仕事が片付くことはなく、上司を説得したり関係部署と調整して業務を進めるには、とにかく「人を動かす」ということが大切なのだ。

 

そうそう、肝心の異動に関する「引継ぎ」についてももちろん書いてあった。

これは、簡単なことだが、前の担当が処理すべき残務処理と、引継ぎ事項に分けて、その引継ぎ事項のなかでも、引継ぎのときに直接伝える「緊急かつ重要」なことと、あとは読んでおけば済むことに分けるというシンプルなものだった。

と、いうのもこの書籍では「マニュアル」の作成を当然としているので、たぶん通常で言うところの引継ぎの大部分は、「マニュアル」で片付いているものと推測される。

もちろん「マニュアル」についても、きちんと体系化されていてありがたかった。

この本によると「①目的②根拠③手順④注意点⑤よくあるミス・主なトラブルとその対処法」を書くとある。

特に、①目的と②根拠が重要だと思う。特に①②がしっかり記載されていないと、柔軟性がなくなり陳腐化するという点についてはとても共感した。

 

私の暖めている業務改善のアイデアとして、「Whyの管理」というものがある。

マニュアルを作ったはいいものの、

なぜ、そういうルールができたのか、

なんのためにそのルールを守る必要があるのか?

 

といったことがわからなくなってしまったがために、
ルールに対する緊迫感がなくなってルールを守らなくなってしまったり、
もはや意味のないルールが無駄にのさばってしまったり

という事態がまー、よくある。

なんで、マニュアルを作る際には、この①目的と②根拠をつけることは本当に重要だと思う。
(逆に、これが思いつかない謎ルールは早急にその存在価値について、検討する必要があると思う)

個人的には、こういう引継ぎ書は作成した文書ファイルごとにこれを作成するといいと思う。
各ファイルにつき、A4 1枚程度でそのファイルについての取り扱い説明書のようなものを作成することで、その文書に関する重要度やポイントを伝達することができ、網羅的な引継ぎができるし、重要度の低い文書についても適切に廃棄することができると思う。


そうそう、「引継ぎ」の心がまえの面で大切なことが書いてあった。
というのが「2ヶ月で覚えろ、3年先を見据えろ」という一文である。
本の中で、「課長、係長であれば4月に移動したら、もう6月には議会がある」とあり、管理者目線の仕事をする上で、とにかく早急に自分の業務を理解することの重要性が説明されている。
また、行政の予算は、前年度のそれも10月ごろまでに担当としての素案を作らないといけないので、「1年やってみて仕事がわかった」のでは遅すぎるのだ。ほんとに、最初の2ヶ月で仕事を分かった気になるレベルまで上昇させる必要がある。
(とはいっても、実際に1年経験してみないと分からない部分はどーしてもあるので、現在の行政の予算システム(予算単年度主義)はやっぱり理想的ではないと思う)
1年で仕事を理解して、翌年度に仕込むのパターンでは、1年通して仕事をして、予算上おかしいと感じたことでも、またそのおかしい仕組みをベースに考えないといけなくなる。もし、2年で異動になれば自分が改善した予算で仕事をするのは次の担当ということになる。
この1年ぼやっとしているだけで、役所の行政が1年、下手すれば2年と遅れていくのだ。
まあなんと恐ろしいことか。


と、まあほんとによく、ナイスな公務員としての行動指針がまとめられていて、 とてもいい本だったと思う。
私としても普段から、あーすべきじゃないか、こーすべきじゃないかともやもやと考えていることを、はっきりと「やるべきだ」と言い切ってもらえたような気分がして、すっきりしました。

個人的には、こういう本に書いてあることは、本を読んだやる気と時間のある公務員( 自費で本を買って、正月から自分で勉強する変な暇人 )だけでなく、公務員全員が認識すべきこと何じゃないかと思っている。
と、いうのも公務員がいい仕事をして、何がいいことなのかといえば、住民サービスが向上することである。
たまたまやる気のある公務員に当たった人が、いいサービスを受けれるというのは、いささか不平等で、理不尽な気すらするのだ。

で、そういう風にみんなが公務員として、ナイスな行動に取り組むためには、私は「がんばらないこと」が必要だと思う。
正確には、如何に今のシステムを、より「がんばらずに」回すことができるかが必要なのだ。

公務員は難易度の高い試験を通過して、入庁した「がんばりやさん」が多い。
でも、行政はできることなら、がんばらないほうがいい。
特にこういう本に載っているような「改善」へのエネルギーを捻出し続けるためには、通常のシステムを如何に瞬殺できるかが大切だと思う。

ぶっちゃけこの本を読んでて、「ちょっと上の公務員になるための...」という感じの特別感がちょっと漂っているのだが、こういうスキルは職員研修でやっていいレベルの基礎的なスキルにしてしまわないといけないんじゃないんだろうかと思う。
つか、公僕たる公務員がこの程度(誰でも一度は考えたことはある程度)のことを体系化したくらいで、周りの職員を出し脱いて出世できるっておかしくない?共有して組織全体のレベルアップにつなげるべきでしょ!

と、言うのも。

高齢化がやばいとか、地方が消滅するとか、ドラスティックな変革が問われているわけです。

だから、たとえ職員みんながこういう規範的な行動を取れるようになったとして、既存のシステムを一番最適に回すことができるようになるだけで、問題は解決しないと思うのです。

じゃけん、ありていに言うと、もっと行政および公務員がさらに上の境地に至るためには、今の時点で一般化されていることについては、きちんとできるようになって当然だと思うのです。

私は、今の役所の仕組みが気にくわないので、今の役所のルールに沿って成長し、今の役所のシステムを効率よく回せることに魅力をあまり感じません。
こういう、「できる公務員」が必死に頑張ってたどり着ける境地に、楽勝でたどり着けるような仕組みにしたい。
私はやる気がなくて、才能がある人が好きなので、がんばる人、やる気に満ち溢れた人でなくともうまく行く。そんな仕組みを作りたいのです。

というわけで、この本のレベルは今年中に「楽して」超えて行きたい。
これくらいは当然だと回りに伝えたい。

 

というのを今年の目標にいたしましょうか?