【メモ】投票率低下の真実??
前回の記事で、某地方都市の選挙区における、組織票と浮動票の割合を考察した。
結果、浮動票の割合は2-3割程度で、残りは組織票だという結論を出したと思う。
結局選挙を動かしていることは圧倒的「組織の力」であることが判明した。
これに関して、投票率とセットで考察すると、どうなるだろうか?
今回のこの地区における投票率は約40%だった。
報道等にもみられる通り、全国的な傾向として投票率は低下している。
どの世代も投票率は下がっているのだが、特に若年層における投票率の低下が顕著である。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000255967.pdf
総務省HPより
こうした事実に対して、「政治や選挙に対する関心が薄れている」
という報道をよく耳にする。
でも、先ほどの「選挙の大半は組織で動かされている」と、セットで考えると、
「組織の選挙に対する動員力が低下している」ことのほうが、投票率への影響が大きいのではないだろうか?
社会の在り方が多様化していく中で、既存の勢力に結びつかない人間が増えているのだ。
また、地域のつながりが薄れていく中で、自分の出身地域の政治家に関心がない人も増えているのではないだろうか?
若い人の投票率の低下が顕著、ということは若い人を既存組織に取り込むことがうまくいっていないのだ。
よく、「自分の価値観にあう政治家がいないので投票できない」という話も聞く。
実際のところ、昔は「区長さんが支持している候補に投票する」とか「うちの業界を代表する政治家に投票する」というのが投票のモチベーションだっただけで、それは有権者や政治家の質がどうという話ではないのではないだろうか?
少し前にマニュフェスト選挙という言葉が話題になったが、逆にいうとそれまでは候補者がどういう政策を目標に掲げているのかということに対して、有権者は関心がなかったのである。
自分たちの味方になってくれそうかどうか、ただそれだけである。
なので、投票率が下がった下がったと、騒動することも多いが、これは選挙における各組織の力が落ちているだけなので、あまり心配しなくてもいい、というか社会の変化が数字になって表れているだけなのではないか?
で、前回の選挙では特定の勢力に紐づいていないにも関わらず、良心だけで選挙に行ってくれた人がその選挙区では8.8%いたという話をした。
今後、組織の力が落ちていく中で、これら8.8%の人たちはおそらくこれからも選挙に行くだろう。そうしていけば、既存の組織が選挙や政治に与える力が弱まってくるので、政治の世界に新たな風を吹かせることができる可能性も上昇してくる。
「投票率が下がる。」
それは、社会の構造が複雑化・多様化してく中で自然現象ともいえると思う。
今後、その先の社会をどうデザインできるかどうか、現代人に問われているのだ。