公務員の仕事の種類を4つに区分してみた。
働き方改革関連法案の施行に伴い、残業時間の正確な把握が実施されるようになった。
また、これと同時に、多くの団体で得られた残業時間のデータを分析して、組織の課題を把握したり、データを職員で共有することで、残業時間を軽減を啓発する取り組みが行われていることだと思う。
しかし、この残業時間を分析するときに、それぞれの職場の仕事の特性とセットで考えなければ、課題を見誤る恐れがある。
例えば、観光振興のような攻めの施策を推進するような部署での残業と、みんなのサポート、お世話係にあたる総務部署の残業とでは意味合いが異なる。
こうした背景を把握した上で残業時間の分析や共有を行わないと、正しい処方箋にたどり着けないばかりか、残業時間の多い少ないといったことで職員間の隔絶を作ってしまう恐れもある。
そこで、今回公務員の仕事を、残業特性と紐付けながら区分することにトライしてみたい。
①事業型(オフェンス)
主に産業振興に関する企画を立案し、予算をとってきて事業を打つ仕事。
新しいハコモノやインフラを作ったり、改良したりするハードの仕事もこのカテゴリ。
新規事業を起こした時に、残業が多くなりがち。また、そうした場面ではしばしばみんなハイになっていて残業に麻痺しがち。
事業が数年経つと、落ち着いて一定のリズムで仕事ができるようになるが、撤退のしどころを見誤ると、事業は意味のない形骸化したゾンビと成り下がる。
また、スキルや経験・人脈が属人化しやすく、赴任直後はみんな苦労したにも関わらず、慣れたあとはマニュアルを書かないのもお約束。
よって残業対策は、ゾンビ事業対策、属人化対策が主。
あと
『ITを使う前に、もっと必要なことがあんだろ!!深く考えろ!!』
②運営型(ディフェンス型)
税の徴収、インフラの管理、各種規制・監視・指導、各種法定給付金等に関する仕事。
住民の安心な生活に直結し、行政の本質に関わる、なくてはならない仕事が多い気がする。
住民と直接接すること多く、このコミュニケーションを如何に円滑に行うことができるかが残業削減のカギ。
また、ルーチン性も高い場合があるので、ITの活用による改善の可能性も高い。
少子高齢化の中で、こと医療・福祉部門では苛烈な負担が生じており、ここについては人的リソースの適正配分と改善による効率化の両面の対策が望まれる。
③総務型(サポーター)
組織の運営に関する仕事。組織が大きくなるこうした部署が必要となる。
経理、庶務、管財といった、チーム全体のサポートを行う仕事。
外部とのやり取りが少なく、定形業務も多いため、職員のモチベーションを保つのが難しい(あるいは…)側面もあるように感じる。
この部署の頑張り次第では、全体に効果が及ぶ大きな改善を実現することができるが、外部評価に繋がりにくいこともあり、やる気のある職員が配属されたとしても、任期内でそれを達成するのは容易ではない。
業務量が読みやすく、残業は比較的少ない場合が多いが、逆にこういう部署が残業してると、組織全体としてそろそろヤバい。
これらの部署が残業を減らそうとして、自分の部署に集約されていた業務を、各部署に押し戻すようになると、組織のカタストロフィが始まる。
④政策型(ミッドフィルダー)
政策立案等を行い、それに伴う各部局の調整・橋渡しを行う仕事。予算配分を通して組織の舵取りを行う財政課もここに分類する。
直接自力で施策を打てないという意味では裏方であるが、トップの意向を各部署と調整しつつ施策に溶け込ませるという意味では最前線と言える。
事務職における花形部署であるが、時に様々な理由で現場との軋轢を生み、①事業型や②運営型の部署から恨みを買うことも。
トップの意向と、現場の声との間で板挟みに苦しむことも多い。
トップの影響をモロに受け、またバリバリのエリートが集うこともあり、往々にして残業が常態化している。
残業対策は、組織の風土改善と、コミュニケーションコストの低減がカギだが、結局はそれもトップ次第である。
また、個人的にはこうした部署が、組織全体の風土に影響を及ぼしている(『偉いやつ=残業するやつ』の構図を生み出している)と直感的に思っている。組織全体の働き方改革に与える影響も大きいので、ここをどう改善できるかは、肝要なポイントだと思っている。
こんな感じか?
もちろんこの4つは明確に区分できるわけではなく、職員によってはそれぞれの中間のような業務に携わる職員もいるのでないだろうか??
また、マクロレベルで見れば、①事業型だが、実際やっている仕事の内容は②政策型なんてパターンもあるだろう。
行政のような大組織では、たまにこういう立場の違いによるギャップが論理的な議論を妨げることもある。
今回の働き方改革で、トンチンカンな議論にならないよう、一度整理をしたかったのでまとめてみた。