冬のイルクーツク、バイカルツアー(2018.2) その5 シベリアの真珠編

 

hokusoemi.hatenablog.com

 

さて、昨日すでにバイカル湖の氷は堪能しつくした気でいた一行であるが、今日はどんなものが見れるのだろうか?

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フジュル村の目覚めを見守ったあと、ロシアンジープ、ワズに乗り込み、一行は島の北部の国立自然公園区域へ。 

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これまでの荒野とは打って変わって、タイガの森の中をジープは進む。

フジュル村までも道はかなりひどかったが、ここはさらにやばい。

揺れのひどさに頭をぶつけるほどだ。

友人Aはすっかり車酔いになってしまった。

 

うってかわって、ロシア人夫婦はケロッとしている。

なんでも、彼らの住むソチはもっとすごいらしい。そんな道を旦那が1986年に自力

 

で作ったワズで旅行するそうだ。

 

そんな我々を気遣ってか、旦那のリトは自分のコニャックをみんなに飲ませてくれた。

てか、本当にいつも酒飲んでるんだな。

 

でも、アルコールの火照る感じが喉の奥に広がるのは、まるで暖かいお茶を飲んでいるようでなかなかいい気分だ。

 

そうこうしているうちに最初のビューポイントに到着。

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一面に広がるせりあがった氷や

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石灰石のカーテンのようなツララ

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シャンデリアのように透明なツララ

昨日に比べても断然美しい景色をたくさん見ることができた。

 

ただ、写真に写っているとおり、他の観光客(主は中国人)も結構いる。

 

「もっといい場所があるから、そっちに先回りしよう」

 

ガイドの提案に乗り、先を急ぐことに。

 

でも正直なところ、ここでの時間はもう少し欲しかったとこのときは思っていた。

 

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そしてまたジープは、タイガの中を突き進む。

植生は松のような針葉樹林で、森の中には松ぼっくりも落ちていた。

そして、さっきから写真にあるとおり、このあたりはまた雪が降るようだ。

何度も言うとおり、この島は奄美大島くらいのサイズの島なんだが、その島の中で気候がコロコロ変わるのは面白いと思う。

今思えば、雪が降るから冬でも地温が保たれるし、夏には水分も十分に供給されるはず。その結果森があるのかもしれない。

 

そう、1つこの旅に難点をつけるとすれば、それはトイレだ。

ここは自然公園で、文明らしいものはおおよそない。

もちろんそれはトイレも同じで、ほとんど掘っ立て小屋の中にある穴が開いただけのぼっとん便所見たいなところで用を足さなければならない。

小はまだいいけど、大をする場合や女性の場合は、その穴をまたがねばならず、結構怖いし、回りも汚れているので不潔である。

 

かといって、その辺で用を足されてしまえば、寒さで分解されることはないのでそれは次の春までそのまんま。

 

そして、それなのに寒さでトイレが近くなる罠。

 

まあ、ここは本当にすばらしいところだし、それくらいのハードルはあってもいいのかもしれない。

 

さておき、ガイドが最初のビューポイントをさっさと切り上げてでも早く行きたがった場所とは、どんな場所なんだろうか?

 

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途中荒波がそのまま固まったような、荒々しい風景の場所にも止まったが、そこそこもすぐに出発してしまった。

 

それからまたしばらく車は、でこぼこ道や氷の上を走り続け、そして島の北端でとまる。

 

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もうこれは、あれだ、俺は別に世界中を旅してきたわけじゃないし、むしろ海外のことについて大して詳しいわけじゃないけど、これはもういいだろ。

 

唯一無二だわ。

 

この世界にこんな景色、他にないだろ。

 

世界一の透明度と、世界一の水量を誇る水が生み出す景色。

 

ここからはあんまり説明は要らないと思うので、写真を中心にしよう

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アップする写真を選んでいて気がついた。これは、キリがない。

なぜなら、この写真の一枚一枚に違う美しさがあり、どれが一番なんて比べることができないのだ。

 

同じ場所を写した写真ですらも、角度がちょっと変わるだけで、光の反射や氷のヒビの重なり方が変わり、別の美しさが現れる。

 

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うっかり、今なら死んでもいい、むしろここで死にたいと思いそうになるほどだった。

 

ここに来る前、バイカル湖のことをネットで調べていて、もちろんすばらしい写真が出てくるのだが、私はそれは腕のいいカメラマンが、ベストコンディションのときに、それらしく映るスキルを駆使して、なおかつちょっと加工してこの絵が得られるものだと思っていて、正直本当に自分がそういう景色に出会うことができるとは思っていなかった。

 

ただ、実際のところは、自分の頭では想像すらできないほどの美しい景色が広がっていたのだ。

本当に、ただ無数の命の中のただ1つである、この体が、こんなすばらしい世界を感じることが許されるのかと思った。

 

平たく言うと、生まれてきてよかったと思った。

 

その後も、後何箇所かポイントを回ったと思う。

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目に映るものだけではなく、磨き上げられた大理石のような氷の感触、氷の破片を踏みしめるときの軽いガラスが触れ合うような音、穏やかな風が吹く冷たい空気。

 

すべてが本当に心地よかった。

 

美しいという気持ちは、人間が直感的に資源を見抜くために遺伝子に与えられた仕組みなんだと思う。

 

だから、透明な水、新緑の緑、一面に広がる頭を垂れた稲穂、そんなものを美しいと思うのだと思う。

でも、生き物が住むのには決して適しているとはいえない、この景色をなぜこんなに美しく感じるのか?

 

たぶん、一生考えても分からないと思う。