サバヒーを食す
人生とは片付けである。
片付けられないというのは、処分ができない物がたくさんあるということで、処分できないものというのは、まだその物体が存在する目的を達成できていないから処分できないのである。
自分の身の回りにある物を使って自分が達成したいことをやり尽せば、精神的、物理的にその物体から解放されるつまり、「片付く」のである。
生物として生を受けたからには、己の内面の叫びに従ってやれることをやり尽したいものである。
さて、今回片付けたいものは、食料品である。
今年度私はずいぶんたくさんの場所に旅行に行ったもので、その結果自分用のお土産にご当地の産品をたくさん溜め込んでしまった。
もちろん、溜め込むためではなく、食べるために買ったのだから絶対食わねば手に入れた意味がない。
今日は年の暮れに行った台湾で、滞在先の団体からいただいたお土産を食べることにした。その名もサバヒーである。
名前は日本語の語感からすると滑稽な感じがする。サバに名前が似ているが、ラベルの絵はボラに少し似ている。一個220gもあるものを12缶ももらったので、旅行中はまさに重荷であった。
同時にいただいたカレンダーにはサバヒー漁の写真がついていたが、こんな大きな魚が大量様子はさぞかし壮観だろう。
ちなみに、やたらと今回厚遇を受けているが、これは一緒に行った私の上司と、さらにいうなら80年前に巨大なダムを建設した日本人技師、八田與一氏のおかげである。私は中国語が流暢に話せる上司とならば、きっと普通の人が体験できない面白い体験ができるだろうという魂胆でついていったのだが、まさにそのとおりでうれしい限りであった。
さておき、早速いただいてみる。
ラベルにmilkfishとあるように白い身が特徴だ。トマトソースで煮込んである。
台湾といえば、香草がきつい印象があるが、臭いからはあまりそれは感じられない。
さあ、いざ試食...
...
...うまい。
味はイワシに近いが、イワシよりも脂がのっていて身がふっくらしている。また、臭みもクセも少なく、食後は口の中に心地よいうまみだけが残り、幸せな気分になれる。
ほのかに酸味のあるトマトソースとの相性もばっちりだ。
というか、これ。
うまい。
日本の鯖缶とかイワシ缶よりもおいしい気がする。
実家と、親戚にたくさん配ったけど、きっとこれは喜んでもらえただろう。
残りがあと2缶あるけど、なくなったらどうしよう。また、食べたいし他の人にも食べさせたい。
よし、八代港から輸入しよう。