冬のイルクーツク、バイカルツアー(2018.2) その9 食べ物編
そう、まだ語りつくせない。食べ物の話がまだだった。
基本は、ウラジオストックに行った時と同じように、何を食ってもおいしい、口にあうというのが全体の感想だが、今回はモンゴルとの国境付近であることや、宿泊先では家庭的な料理を楽しむことができたという点で、また前回とは違った発見があったのである。
イルクーツクから2時間ほど走ったところにある、エランツィの街にある「ユルタ」というモンゴルのゲルを模した建物のレストランでの食事。
定番のボルシチは、やっぱりおいしい。モンゴルとの折衷料理のマトンのボルシチもおいしかった。
奥の大きなペリメニは「ボーズ」と言って、モンゴルのペリメニってか餃子らしい。発音的にも中国のパオズと近いのが面白い。
そうそう、面白かったのがこれ。モンゴルティー。味はおいしいスキムミルクって感じ。要はおいしい。スーパーとかで買えないか探したけど見つからず、とても残念だった。
追記:ラベルのハン・チャイで検索すると、ロシアの通販サイトがヒットしました。そのうちなんとかして買ってやりたい。
お値段は、3人で850ルーブル。約1500円。まあまあ安い。
そう、村ではこの紅茶をひたすら飲んでた。ロシアは紅茶の文化が強いらしく、相当な量の紅茶を消費するそうだ。これはあとで買い物に行ったときに、紅茶だけで1コーナーできていたことからも色濃い紅茶文化を感じ取ることができた。
お味のほうも素晴らしく(普段紅茶なんてろくに飲まないのでよくわからないけど)、お土産に何箱も買って帰ったくらいだ。
そうそう、バイカル湖でのティータイムにいただいた、ロシアの定番お菓子プリャニク。シナモン等のスパイスを練りこんだパンをはちみつを塗って焼いたものだそうだ。これを私は痛く気に入ったので、お土産に2袋買って帰ったのだが、1袋500gもあるこいつを道中何度捨てようかと思ったことか。
でも、そのおかげで職場にロシアのティータイムを提供できたので、まあ良しということにする。
そうそう、バイカル湖での昼食は、ピラフとオームリのお弁当。これもおいしかったな。
お菓子つながりでいうと、フジュルの宿で食べたこのクッキーがかわいかった。この「ドブラーヤコロバ」というのは、「優しい牛さん」という意味らしい。かわいかったので、これもお土産にしたかったのだが、なぜかスーパーには「コロバ」=牛さんのクッキーしかなかった。
なぜ、やさしさを失ってしまったのか…。
あと、ロシアはなんかスーパーでこんな雑な感じで袋にたくさん入ったお菓子を売ってる。あまりに売り方が雑なので、ごみのようにしか見えないが、どれもなかなかおいしい。量が多いので旅行の間みんなで食ってた。
フジュルの宿の食事たち。これがロシアの家庭料理なのだろうか?どれもおいしかった。寒さで体力がガリガリ削られるので、もっと食べたかった。
空港のサブウェイで食べたサンドイッチ。日本のよりも少し大きめか?
野菜を選んで入れてもらえるシステムは全く同じ。
「フショー(全部)」「ボルショイ(モリモリで)」と伝えたら、ちゃんとたくさん野菜を詰め込んでくれた。
空港のすぐ近くにあるWinkel。
クラフトビールが一杯300円ほどで、くそ安。そうそう、ロシアは結構カツレツがよく出る。この辺りも日本人にはなじみがあってよい。
ってな具合に、食べ物関連も最高だったのであるが、最後にしてやられた。
最後は、やっぱりボルシチで締めたいねと、モドニクヴァルタルの近くのお土産ストリートでラッソリニクというレストランに入ったのだがね。
入ってそうそう気づいたのが、アジア人だらけだってこと。私たちも席に座るなり、中国語のメニューを渡される。
まあ、何となく読めるけど、それ以前にそのメニューの料理が高すぎる。
こりゃ観光客価格やで、と思ってもともと置いてあった英語のメニューを見て頼むことにしたわけだ。
若干、ましな値段ではあったけども、それでもボルシチ一杯500円くらいと、これまでの相場の倍以上の値段である。
まあ、もともと安いから別にいいかと注文してみる。あと、ほかのお客が食べてておいしそうだったスープがパイ生地の器に入って出てくるのも一緒に注文。
飲み物もなんか頼もうと思うのだけど、やっぱり高い。
てか、メニューの中に「ソビエトジュース」みたいなのがあるんだけど、絶対嘘だろ。日本で1970年代に「大日本帝国茶」が売ってあるようなもんだ。ありえんだろ。
てか、「ソビエト」って、「議会」って意味なんじゃなかったっけ?議会ジュース?
もはや、なんでもいいから頼んでみろということで、なぞのソビエトジュースも注文。
なんか、いやな予感がしつつ、料理が出てくるのを待つ。
お、とりあえず見た目は普通やん。
で、みんなで食して、お互いの顔を見合わせて沈黙。
なんか、味が安っぽい。なんというか、化学調味料?魚のスープは生臭かったし。
あと、肉が固形肉。あの、カップラーメンの謎肉みたいな?
写真撮ってないけど、ソビエトジュースは謎の黄色くて酸っぱい液体でした。
極めつけは
このパイに入ったスープ。
パイの器が硬すぎ。ナイフでガリガリやってもかすり傷しかつかないんだけど。
これ、プラスチック?
否、なめてみるとかすかに炭水化物感がある。
3人で代わる代わるパイらしき物体に噛みついてみる。
しばらくみんな、もう薄々オチを予想しながらゴリゴリと音を立てて、その物体をかみしめる。
友人A「確かに、カロリーは感じる。食べ物だよ。」
友人B「まずい。」
俺「段ボールではない」
俺ら3人は、これまで最高の旅をしてきて、自分たちが上級旅行者だと勘違いしていた。ガイドがいないと所詮こんなもんだ。
自分たちの愚かさをかみしめながら、謎の物体を咀嚼し、飲み込んだ。
「ぼったくりやねーか!」
クソッ!クソッ!よく考えたら店に入った時からおかしかった。
全然、会計の客をさばききれてないし、室内の音楽は悪趣味だし、全然雰囲気に合ってないし。
客の8割アジア人だし。
そうと決まれば、さっさと切り上げるのみ。腹半分も満たされてないのに、これまでの倍くらいの支払いを終え、店を出る。
さらっと書いたけど、会計するのにも店の統制が全く利いておらず、だれも会計をしてくれない。
ようやく会計をしてくれたかと思ったら、おつりが来ない。
大した額じゃなかったから、もういいよって言ってお店を出たけど、たぶんお店のスタッフは本当は目の前のお客におつりを渡さなければならないことにも気が付いてないのだろう。
いやね、思ったんだって、この町は物価は安いは、お土産はワンパターンだわ、これちょっと小ズルい人だったら、簡単に悪だくみできちゃうんだよね。
仮説だけど、決めつけはよくないけど、この店は中国人オーナーが、適当に現地のロシア人アルバイトを雇ってそれらしい雰囲気の店作っただけだ。食材とかはどこかでクソ安く仕入れたやつを送り込んで、適当に料理させてるんだわ。
たぶん、自国民だったらプライドにかけてあんなにまずいボルシチは作れんだろうよ。
んだがら、店の統制はめちゃくちゃだし、料理はまずいし、「ソビエトジュース」なんて謎の液体を作り出しちゃうし。
でもね、勉強になったわ!やっぱり、考える奴はいるんだな。
日本人として、こういうのには絶対負けたくないなと思った。
3人で、笑いながら、気を吐きながら店を出たのであった。
悲しいかな、あれでも一応食い物だったようで、それからもう1件レストランほどの空腹にはなれませんでした。